道徳教育の目標と道徳科の目標 -対象の違い、目指すものの違い-
道徳教育の目標と道徳科の目標
―対象の違い、目指すものの違いー
今回のテーマは、「道徳教育の目標と道徳科の目標」です。
「え、道徳教育の目標と道徳科の目標って違うの?」
「そもそも、道徳教育=道徳科じゃないの?」
「どちらを使うかは人によるんじゃない?」
「あれは・・・どっちの目標だっけ」
道徳の授業実践を考えていくための大前提として、
両者の違いを確認していこう。
(1)道徳教育と道徳科の違い
道徳教育の目標
道徳科の目標
この2つの違いを理解するためには、「道徳教育」と「道徳科」の違いをおさえておかなければならないんだ。
簡単に図に表すと、こんな感じ!
つまり、
表しているもの というか、
対象としているものの大きさ、範囲がちがうということ。
道徳教育は、学校の教育活動全体を通じて行うもの
道徳科は、週1時間の道徳の時間に行うもの
このへんのことは、解説(小学校学習指導要領解説道徳編のこと)の16ページに書かれているよ。
その中に出てくる
「学校の教育活動全体を通じて行う」という文言と、
「道徳教育の要(かなめ)」という文言
この2つとセットにして、次のフレーズで覚えておくと、両者の区別がはっきりすると思う。
学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育
道徳教育の要としての道徳科
誰かに「おい、道徳教育と道徳科の違い、言ってみろ!」とふられても、
(そんなシチュエーションないか・・・)
この2つを言っておけば大丈夫!!!(きっと!)
一応、解説の関連箇所を載せておくから、読みたい人は読んでみて。
(読み飛ばしてもOK!)
(2)「道徳教育の目標」と「道徳科の目標」の違い
道徳教育と道徳科の違いをおさえたところで、次はそれぞれの目標を見ていこう。
こっちが、道徳教育!
そして、こっちが道徳科!
同じところは、
スライドの赤字になっているところ、
よりよく生きるため基盤となる道徳性を養うということ
もっと短く言えば、道徳性を養うこと
そこに向かって教育活動をしていくということは同じ。
一方、ちがうところは、
学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育では、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きていくための力を養っていくことを目標とする。
かなり究極的な目標ってことだね。
一方の、道徳教育の要としての道徳科では、その手前というか基盤というか、もとになるもの、つまり、道徳的判断力、道徳的心情、道徳的実践意欲と態度を育てることを目標とする。
実は、このへんの詳しい説明は、解説とかにも書かれてはいないんだけど(もしかしたら、私が見つけられていないだけかも。)下の資料の赤囲みのところとピンク囲みのところから判断すると、道徳教育の目標と道徳科の目標の違いは、ここまで説明してきたような感じになると思う。
でも、この区別知っていることってそんなに大事?って思う人もいるよね。
私は大事だと思うんだよね。(そうじゃなかったらこれを書いていない。)
道徳教育の目標と道徳科の目標をしっかり区別しておくことで、
道徳科の授業のねらいをはっきりさせることにつながったり・・・
道徳科の授業で”こそ”やるべきことが見えてきたり・・・
逆に道徳科の授業ではできないこと、やらないほうがいいことが見えてきたり・・・
すごく遠回りのような感じはするんだけど、道徳科の授業の輪郭(?)というか、道徳科の授業のあるべき姿を考えることにつながると思うんだよね。
今後も、このような”遠回り情報”をたくさん、発信していきたいと思います。(笑)
ということで、まとめ
学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育は、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする。
道徳教育の要としての道徳科では、道徳性を養うために必要な、道徳的判断力、道徳的心情、道徳的実践意欲と態度を育てることを目標とする。